今回は、弊社でもお問合せの多い事案、現行ジムニー ジムニーシエラのリフトアップのお話です。
ジムニーのリフトアップされた車高、大きなタイヤの迫力に惹かれる方は多いでしょう。
たしかに格好良いですよね!
リフトアップのルーツ、それはより大きなタイヤを履けるようにして、最高地上高を上げてロードクリアランスを確保してオフロード走破性を上げることが目的です。
ただ、昨今においては「見た目の格好良さ」が第一目的でリフトアップされる方のほうが多いかもしれません。
リフトアップキットは様々な物が発売されていて、ユーザーさんは何を選んだらよいかわからない、というのが実情でしょう。何インチ上げたらよいかも悩みどころ。
そんなジムニーのリフトアップ事情、メリット、デメリット、車検に関する規制など含めて分かりやすく解説したいと思います。
まずその前に、現行ジムニー ジムニーシエラリフトアップした場合に車検可否に関わるであろう法的内容からお話します。
直前直左視界
物凄く簡単に要約すると、車の前面と左側面30㎝以内に高さ1mのポールを立てて運転席から見えなければいけないという内容です。
発進時に死角に子供などがいて気付かず轢き殺してしまったら危ないよね、という趣旨です。
(後ろはいいのか?という突っ込みどころはありますが。)
カメラやモニターを設置して対応することになります。
突入防止
こちらはR3年9月以降生産の車が対象です。
まだ対象車が初回車検を迎えておらず、現場でどのような対応になるかが未知数、条文も難解で様々な解釈ができますが、おおざっぱに言うと社外ショートバンパーの場合リアフレームメンバーの下縁が地上60㎝以下になっていればOKだと思います。
車高の高い車に低い車が衝突したときにもぐりこんでしまい危ないよね、という趣旨です。
(前面は?という突っ込みどころはありますが。)
突入防止のバーを付ける、車高を上げない、といった対策になってくると思います。
この2点を踏まえたうえで、何インチアップを選択するか?という話に移ります。
その前に、大事な事。
「どんな大きさ、太さのタイヤを履きたいか?」
を先に決めるべきだと私は考えます。
そうすれば、車高の割にタイヤが小さくて格好悪いという失敗や、タイヤが干渉して走れない、という失敗を防げます。
1インチアップ、2インチアップ、3インチアップと上げれば上げるほど重心位置は上がります。
最大安定傾斜角は重心高とトレッド幅の関係、ロール量はロールセンターと重心高の差で決まりますので、単純に上げれば上げるほど安定性、危険度は上がります。
これはどんなスプリングやショックを使ったとしても同じことです。
スプリングレートが上がればロール量はたしかに減りますが、限界点を超えたときに突然横転します。
また、タイヤのグリップ力も影響します。グリップが弱ければ横転する前にスピンで済みますが、グリップが高いと横転してしまいますね。
以上を踏まえた上で、リフト量を決めていけばよいと思います。
1インチアップ
1inc=25.4mm 車業界はインチとミリが混在していてややこしいですね。
たった1インチと侮ってはいけません。
現行ジムニーは旧モデルと比べてノーマルでもタイヤクリアランスに余裕があるため、1インチアップでも225/75R16サイズが履けます。
参考画像 JB64に弊社1インチアップキット装着 タイヤ BFグッドリッチ オールテレーン KO2 225/75R16
1インチアップでもアライメントのずれは生じます。
3リンクリジット故のキャスター角、左右位置のずれ
厳密に言うと補正が望ましいですが、この上げ幅であればギリギリ補正しなくても違和感なく乗れるレベルです。
そのため、スプリングとショックの交換のみで完結できるので全体のコストを抑えられます。
(オフロードを走る場合はブレーキホースも延長しましょう。)
SCMの1インチアップは厳密にいうと3㎝(約1.2inc)ほどのリフト量になります。
他社製1インチアップスプリングと比べると、柔らかめ、長めの設定なのがポイント。
接地1G状態からの伸び側ストロークに余裕があり、2インチアップ用ショックと併用することにより2インチアップと同等の伸びストロークを実現しています。
オフロード走行において、伸び側のストロークはとても重要です。
オンロード走行でも伸びストロークが無いと極度に乗り心地は悪くなります。
他社商品で(スプリング交換のみでOK!)なんて物もありますが、乗ってみると乗り心地は最悪でしたね。
2インチアップ
参考画像 JB64 2インチアップ タイヤ BFグッドリッチ マッドテレーンKM3 225/75R16
参考画像 JB74 2インチアップ タイヤ BFグッドリッチ KO2 245/70R16
2inc=50.8mm
上の1インチアップの画像とタイヤ外径は同じです。
フェンダーアーチとタイヤとの位置関係、間隔に注目してください。
好みは分かれると思いますが、
間隔が大きくなり、より上がっている感、迫力が増します。
商品紹介ページを用意してありませんでしたが、弊社では2インチアップスプリングもラインナップしております。
1インチアップと同様、柔らかめ 長めのスプリングレートで乗り心地とオフロード走行性能の両立を図っています。
このくらいの上げ幅になると、さすがに各所補正は必要となります。
キャスター角補正 左右のずれ補正 クロスメンバー干渉
SCMでの2インチアップ基本メニューは
スプリング
ショック
角度補正強化リーディングアーム
調整式ラテラルロッド
エスケープクロスメンバー
ブレーキホース延長
となります。
3インチアップ
3inc=76.2mm
225/75R16以上のより大きな外径のタイヤを履かせたい
ロードクリアランスをなるべく確保したい
見た目の迫力をよりアップしたい
という方におすすめの3インチアップ。
参考画像 JB74 3インチアップ タイヤ BFグッドリッチKO2 245/70R16
参考画像 JB74 3インチアップスプリング+コイルスペーサーで4インチアップ タイヤ BFグッドリッチKM3 31×10,5R15
参考画像 JB74 3インチアップ タイヤ TOYO OPENCOUNTRY M/T 225/75R16
交換部品は2インチ基本メニューにプラスしてリアのトレーリングアームも角度補正強化タイプへの交換が望ましいです。
SCM エアーリフトサスペンションについて
冒頭にも書きましたが、令和3年9月以降生産の車は突入防止の案件が絡んできます。
実際に計測してみると、2インチアップ、225/75R16サイズタイヤ、SCMカスタムスチールバンパーの場合、条件を満たしません。
1インチアップでもタイヤサイズやリア加重によっては怪しい状態。
悩みました。考えました。
より大きなタイヤサイズを履き、デパーチャーアングルを稼ぐためのリフトアップ、ショートバンパー化。
低い位置に突入防止バーを設けるのは、本末転倒。
だったら車高上げなきゃいいじゃん、となってしまう。
かといって車検毎にサスを組み替えたり、バンパーを交換するのは工賃も掛かるのでユーザーさんの負担になってしまう。
そこで思いついたのが、自由自在に車高を変えられるシステム。
エアーサスペンション
ローダウンカスタムでは一般的な手法ですし、トラックやバス、SUVや高級セダンにも純正採用されているシステムです。
コイルスプリングを残して補助的にエアースプリングを使う手法であれば、構造変更の必要がありません。
エアーショック(ショックアブソーバーにエアースプリング機構を組み合わせた物)は老舗モンロー製から最適なサイズをセレクト。
問題はコイルスプリング。エアーアシスト無しで車検適合する低車高、エアーアシストで伸び切りでも遊ばない自由長、という条件を満たす既製品は皆無、特注製作する運びになりました。
車検対策で考えたサスペンションキットですが、思わぬ副産物が。
加重変化による車高補正
乗車定員や荷物、スペアタイヤの有無やトゥーイングによる尻下がり補正に有効です。
オフロード走行時の接地性向上
エアー配管は左右をひとつにまとめたT字配管。
片方が沈んだ時に逆側に圧が掛かるので、接地性が向上します。
JB64 2インチアップ Fスタビあり
乗り心地の調整
エアー圧を変化させることにより車高だけでなく乗り心地(硬さ)も変わります。
2インチアップくらいでちょうどよいくらいのエアー圧になる物をセレクトしてますが、好みで任意に調整可能です。
このように利点が沢山のエアーリフトサスペンション。
リフトアップを検討中の方に是非知って頂きたいシステムです。
と、ここまで書きましたが、
結局のところ、
難しい
よくわからない
という方がほとんどかと思います。
それだけサスペンションは奥が深く、我々プロでも悩むところなのです。
サスペンション、リフトアップでお悩みの方は、ぜひSCMへご相談ください。
ユーザー様の使用用途、理想のルックスから最適解をご提案いたします。
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