こちらのJA22ジムニー。
東名高速道路で横転天井着地を決めて弊社にレッカー搬送された車輌です。
最初にお断りしておきますと、弊社製作の車ではございません。
たまたま付近の高速道路内で事故されてレッカー搬送、レッカー屋さんが
「専門店さんのほうが修理するにも廃車処分するにもいいんじゃない?」
と弊社を紹介してくれて入庫した次第です。
オーナーさんの話では、高速走行中にジャダー発生、左にハンドルをとられたので右に切ったところそのままガードレールに激突、その反動で横転、ひっくり返ってしまったそうです。
現車を見てみると、そうなってしまったのも必然とでも言いましょうか、仕方ないような気もしてきます。
外観からすると恐らく3インチアップくらいだと思いますが、ショックは純正流用で延長ブラケットのみ。
左右のずれ補正のための調整式ラテラルロッドは装着されてますが、これも粗悪品が多く出回っていて怪しいところ。
そして肝心なキャスター角補正はされていません。
このキャスター角補正が非常に重要でして、直進安定性に大きく関わります。
(キャスター角とは何ぞや?という内容はここでは割愛します。
分からない方は各自ググってみてください。)
JA22以降のジムニーは現行まで全て3リンクサスペンションという方式が採用されてまして、構造上リフトアップするとキャスター角が直進安定性が悪くなる方向に狂います。
対処法として角度補正強化アームや偏芯ブッシュにより補正するのがセオリーなのですが、この車はなんの対策もされていなかったのです。
これではジャダー、シミー現象も発生しやすいですし、直進安定性も激悪。ハンドリングがクイックになりすぎているので、今回の事故は起こるべきして起こったといっても過言ではないでしょう。
車がこれだけの損傷でありながら、オーナーさんが無傷だったのが不幸中の幸い。
結局車はメインフレームまで曲がってしまっていたので修理するのは現実的ではなく、廃車処分となりました。
JA22系だけでなく、後のJB23系、現行JB64、JB74も基本構造は同じなので、同じような事は起こりえます。
なぜか調整式ラテラルロッド(左右方向のずれを補正)だけは装着されていることは多いのですが、私からするとそれよりもキャスター補正を優先するべきだと考えます。
1インチアップであれば補正無しでギリギリいける範囲ですが、2インチアップ以上の場合は必ず各所補正しましょう。
現行ジムニーの爆発的ヒットの影響で、今までジムニーを触ってこなかった車屋さんがリフトアップ施工することも増えていると思います。
また、素人さんのDIY施工も多いでしょう。
インターネットで容易に情報を得られる世の中ですが、間違った情報も多いのが実情。
その道のプロに相談するのが1番です。
「餅は餅屋」ですよ。
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