先日、顧客様よりご相談を頂きました。
現在、弊社の1インチアップスプリング+ロングショック+調整式ラテラルロッドでお使い頂いているお客様。
高速道路を走っていると勝手に曲がってしまったり、
シミー現象も発生するそうで、
このような症状を改善したいと。
また、路面凹凸による揺れや突き上げ感を低減できたら、
というご相談です。
ちょうど今、弊社デモカーも同じ1インチアップでのバージョンアップをテスト中であり、皆様にも是非お伝えしたい内容ですので、この場にて公開回答させて頂きます。
ビルシュタインショックのススメ
現行ジムニー、ジムニーシエラ JB64 JB74 において、1インチアップはとても需要が多いリフト量だと思います。
弊社のみならず、他ショップさんからも多数のキットが販売されています。
リフト量が少ない=補正が最小限で済みますので、全体のコストを抑えられるのが人気の要因でしょう。
スプリングスペーサーで車高を上げるもの
スプリング交換のみでOKと謳っているもの
スプリング+専用ショック構成のもの
各社様々です。
SCMの1インチリフトアップは、
コイルスプリング
ロングショック
R延長ブレーキホース
を基本内容とさせて頂いております。
他社さんとの違いとしましては、スプリングレートと自由長の設定で伸びストロークを長めに設定してあり、ロングショックとの組み合わせにより低重心でありながら伸びる足を実現しております。
実際に使うショックは一般的な2インチアップ用と同等、つまり1インチアップの低重心でありながら2インチアップと同等の伸びストロークを実現しているのです。

現在のSCMのデモカー兼テスト車輌、JB74W。
同一車輌でノーマル車高、1インチアップ、2インチアップ、3インチアップ、ローダウンと組み換え、市街地から高速道路、オフロードからオンロードサーキットまで様々なステージでテスト走行してきました。
11月のサーキット走行会の後、あえて需要の1番多い1インチアップを突き詰めてみようということで、ローダウンから1インチアップに変更。
ショックは新たに輸入販売を開始したビルシュタイン製を入れて、「130㎞/hでも怖くない足」を目指します。
ある程度走りこんだ結果から、基本的な1インチアップ構成からステップアップしたい方向けのバージョンアッププランをご提案いたします。
1、ショックアブソーバーのアップグレード

SCM1インチアップの基本プランのショックは4本で約2万円の安価な外国製。
価格の割に性能は悪くなく、4本で4~6万クラスの国産品と比べても乗り心地はそれほど違いは感じません。
しかし、新たに導入しましたビルシュタインショック。これははっきり言って全くの別物です。
4本で14万円とかなり高価ですが、お値段以上の性能差をはっきり体感できます。
ショックアブソーバーは減衰力を強くしていくとおのずと乗り心地が硬くなってしまうものなのですが、ビルシュタインはどういったからくりなのか分かりませんが上手く両立されています。
段差での突き上げ感は小さく、揺れを一瞬で収束。
高速では抜群の安定感で本領を発揮。
(さすがスピード狂のドイツブランド)
意外なところではオフロードの乗り心地も向上します。
アメリカでオフロードSUVやトラック向けに販売されている商品ですから、当然といえば当然です。
車に疎い人でも違いが分かるほどの逸品です。
ぜひ違いをご体感ください。
2、キャスター角補正
キャスター角とは何ぞ?という説明はここでは割愛します。
分からない人はご自身でググってみてください。
直進安定性に大きく関わるアライメント角度でして、ジムニーのような3リンクリジットサスペンションの車は車高を上げれば上げるほど直進性が悪くなる方向に角度が狂います。
1インチアップですと、補正しなくてもギリギリ問題無く運転できるレベル。
市街地走行の速度領域であれば、直進でステアリングから手を放してもそのまままっすぐ走れます。
とはいえ、高速領域では若干の影響を感じます。
実際のところ、アームできちっと角度補正された2インチアップよりも怖いと感じる場面がありました。
直進状態から左右どちらかに勝手に曲がってしまったり、ふらつく感覚はキャスター角を補正してあげれば改善します。
また、ジャダーやシミー現象もキャスター角が原因となる場合が多いです。
2インチアップ以上の場合は角度補正アームに交換するのが望ましいですが、1インチアップですとキャスター補正偏芯ブッシュで対応するのがよいかと思います。
ウレタン製とゴム製があり、どちらを選ぶかによってもサスの動きに影響が出ます。
ロールを抑えたいのであればウレタン製、サスの動きや乗り心地重視であればゴム製がよいですね。
3、調整式ラテラルロッド
これも3リンクリジット構造ならではですが、リフトアップ、もしくはローダウンすると車軸が左右方向にずれます。
1インチでも、少なからずズレは生じます。
直進安定性やハンドリングに直接影響がある部分ではありませんが、左右バランスの観点からすると補正が望ましいですね。
長さを調整できるロッドに交換して補正します。
4、ラテラルロッドの角度補正
サスペンションにおいてアームやロッドは水平が理想です。
車高を上げると、アームやロッドは斜めに立ってきてしまいます。
サスが動くと車軸はラテラルロッドのフレーム側支点を中心に円弧運動をしますので、ジムニーの場合は沈みこむと車体が右に動く傾向にあります。
車高が高くてなおかつスプリングやショックが柔らかい場合はこの現象がはっきり表れ、とても不快です。
対策としましてはラテラルのアクスル側支点をブラケットで上げて、角度を補正します。
(ちなみにフレーム側の支点を下げて角度補正するブラケットもたまに見かけますが、ロールセンターが下がりロール量が増えてしまうのでデチューンとなり恥ずかしいのでやめましょう。)
ところで、ラテラルアップブラケットはリヤ側は沢山商品化されてますが、フロント側はあまり見かけません。
バンプステアやジャダー対策の観点からも良さそうな気がしますが、何故でしょう?

(画像は2インチアップでの着地状態)
まず第一にクリアランスの問題があります。
画像を見るとわかりますが、ラテラルのアクスル側支点を上げると、ロッドとフレームがかなり近くなり、沈み込んだときに干渉してストロークを抑制してしまいます。
ですので現実的には3インチ以上など大幅にリフトアップする際に有効でしょう。
少ないリフトアップ量で縮みストロークを抑制してしまえば、デメリットのほうが大きいですね。
ただ、それだけでしょうか?
実は今回の問い合わせ、「某ショップさんからフロントラテラルとステアリングリレーロッドの角度補正をするパーツが発売されて気になるが取り付け可能か?」というのが話の始まりでした。
私もその商品説明記事を読み、なるほどと思いました。
しかしここで、新たな疑問が生じました。
その記事の中で、
「アクスルステアはラテラルロッドとリレーロッドの長さが同じ長さ、同じ角度ならほぼ起こりません。」
と書かれてまして、
でも待てよ、それなら何故歴代ジムニーのフロントラテラルロッドはモデルチェンジごとに短くなっているのだろう?
と。
JB64、JB74のFラテラルロッドはジムニー史上最短。
同じ車高であれば短い方が角度は立ってきますし、リレーロッドとの差も大きくなるで、この考え方からすると最悪です。
しかし、わざわざメーカーがそうしているのには理由、意図があるはずです。
気になって夜も眠れなくなってしまいましたが、色々考えてようやくメーカーの意図が見えてきました。
その内容は次回あらためて書いてみたいと思います。
まとめ
話が脱線しましたが、いまの1インチアップからグレードアップしたい方は
1、ビルシュタインショックで乗り心地を向上
2、キャスター補正 ラテラル補正でハンドリングを向上
これで一味違う低重心の大人のリフトアップサスペンションを目指しましょう。
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