現在作業中のJA22 K6Aエンジン
弊社で販売時にエンジンOHしている車輌ですが、OH後約5万キロで1気筒死んでしまいました。
圧縮を測定すると、3番がほぼゼロ。
圧縮低下の原因は様々ありますが、ここまで急激なものはバルブの割れと予測します。
エンジンを降ろして分解してみます。
オイル交換はこまめにされていたので、内部はとても綺麗な状態。
やはり、3番のエキゾーストバルブの片方が割れていました。
前回のOH時に全数対策品の新品に交換してましたが、たった5万キロでこの状態。
相当な高熱にさらされていたことが考えられます。
該当車輌は、JA22 3速ATで
使用状況をオーナー様に伺うと、毎日ではなくほぼ休日のみの使用。
ただし、一回の乗車が遠距離 高速道路使用が多いとのこと。
燃料はレギュラーガソリン。
JA22の3速ATですと、メーター読み100㎞/hでエンジン回転数は6500rpm前後まで達します。
燃焼温度は当然高い状態が続きますので、エンジンにとっては負担の高い状態となります。
当初は割れているバルブのみ交換して終わりにする予定でしたが、他の箇所もバルブクリアランスを測定すると規定値より狭くなっている箇所が多数。
弊社ではOH時にバルブクリアランスは規定値内の最大値で調整するようにしてましたが、
(バルブとヘッドの熱膨張率とバルブの摩耗を加味して)
クリアランスが狭まっているということはそれだけ摩耗が進んでいる証拠。
1気筒だけ摩耗しているのであればそこだけ燃調が薄い(インジェクター不良など)可能性もありますが、全てのシリンダーが均等に高温になっていたのでしょう。
結局、エキゾーストバルブは全数交換することに。
バルブ交換後にクリアランス調整。
シムは各サイズストックしてあります。
さて、こうなってしまった理由と対策ですが。
1番の原因は燃焼室内の異常な高温化でしょう。
過去にもう1台、JA22のAT車でOH後約5万キロで同じようにバルブが欠けてしまった個体があり、AT、高速使用頻度が高い、という共通点が。
インジェクターや燃料ポンプの不良で燃調が薄くなっていないかを確認するのは当然ですが、たとえ正常だったとして5000rpm以上で連続走行するのは酷な話。
ローファイナルの3速ATではスピードをある程度抑えてもらうしかありません。
5速MT車ではこうなってしまった事例は今のところありません。
また、ハイオクガソリンの使用は大きな効果があると思います。
JA22のK6A TURBO は元のスペックからしてハイオク仕様でもおかしくない仕様。
さらに、他の同型エンジン搭載車に比べてジムニーは車重や駆動ロス、大径タイヤにより負荷はかなり大きくなっています。
しかしながら、ハイオク仕様の軽自動車なんぞ売れませんので、メーカーはギリギリレギュラー仕様として販売したのでしょう。
高回転時のノッキングやデトネーションは純正のノックセンサーでは感知できません。
もちろん、人間の耳で聴きとれるものではありません。
ハイオクガソリンを使用することにより、異常燃焼をある程度抑えることができます。
ブーストアップなどチューニングする場合はより過酷な状況となりますが、ハイオク仕様で燃調や排気温度でシビアにセッティングするためか、このようなバルブトラブルは見ることはほとんどありません。
こちらのエンジンはあとは組付けて搭載して終了なのですが、
なにせエンジン作業の前任者が辞めてからの初仕事。
必要な工具はどこ?ケミカルが無い?と思うように進みません。
もうしばらくお待ちください。
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