ジムニー専門店の店主である私ですが、
皆様と同じく一人のジムニーファンでもあります。
以前はこのブログにも度々登場していた弊社所有のテスト車輌ジムニーですが、
しばらく露出もなく、忘れ去られてしまった存在でしょう。
というのも、車検が切れてそのまま放置、しばらく乗っていなかったのです。
(自分の車は後回し、車屋あるあるです。)
久々の登場なので内容をあらためて掲載いたします。
ベース車輌はJA22前期の走行20万キロオーバー。
エンジンは旧規格アルトワークスのK6Aエンジン。
(JA22と基本構造は同じですが、クランクウェイトの重さが若干異なります。)
自社フルオーバーホール
シリンダーヘッド、ブロック上面面研
モンスター強化ヘッドガスケット
シリンダーホーニング
ピストン純正
ポート研磨
加工ハイカム
K10エンジン用オイルクーラー
HT07タービン(スモールコンプレッサー)
300ccインジェクター
ブーストコントローラー グレッディプロフィック
サブコン Eマネージ
強化クラッチ
以前は3インチアップにBFグッドリッチKM2 225サイズを履いていましたが、
エンジンチューニングに伴いノーマル車高へ戻しました。
純正スプリングに減衰調整ショックの組み合わせです。
タイヤも慣らし運転中に負荷を掛けたくなかったので、ノーマルサイズに。
格好悪いのは、百も承知。
私は過激なオフロード走行をするつもりはありません。
釣りに行くときに砂浜に入れればいいので、ノーマル車高で十分なのです。
ノーマルジムニーのポテンシャルは意外と凄いんですよ、
ちょっとした階段なんかは楽勝で登れちゃいますから。
追加メーターは、
排気温
ブースト圧
水温(ラジエターアッパーホース側)
油温
油圧
を装着し、各状況をモニターします。
さて、車検を通してエンジン変更後のインプレッションですが、
まず走りが軽い。
ノーマル車高化に伴い強化リーディングアームを純正に戻したことによる重量差、
(強化リーディングアームは純正と比べると割と重いです。)
リアシート撤去で2名乗車に、
さらにノーマルタイヤに変更で総重量はかなり軽くなっていると思われます。
しかしそれだけではなく、エンジンのフィーリングも大幅に変化しました。
ハイカムにビックタービンということで下がスカスカのドッカンターボを予想していたのですが、
これが意外と低域から乗りやすく、正圧以下の領域でも確実にノーマル車より速いのです。
アクセルを軽く踏んだだけで気持ち良く加速し、あっという間に80㎞/hくらいに到達してしまうのである意味危険です。
現在、ブーストは0.9以下に抑えています。
プラグもノーマル熱価です。
今のブースト圧であればインジェクターはノーマルでも十分です。
むしろ300ccは濃すぎです。
燃調は全域でマックス絞り方向ですが、それでもまだ濃いです。
5000rpm以上でブーストアップしたときに真価を発揮するでしょう。
今後の課題
ブースト、燃調セッティング
現在の状態ですと、美味しいはずの5000rpm以上で寸詰まりになり加速が伸びません。
アクセル半開くらいで想像以上の加速をしますが、
全開にすると期待外れといったところでしょうか。
プラグの熱価を変更してから徐々にブーストを上げてセッティングを煮詰めたいです。
油温対策
水温は余裕があり90℃くらいで安定しているのですが、
連続して高回転が続くと油温は110℃近くまで上がります。
以前、ノーマルエンジンのAT車に油温と油圧計を付けてモニターしたことがあるのですが、
80㎞/h以上で連続高速巡航すると油温は110℃を超えることもありました。
油温が110℃付近になると、さすがのMOTUL 300V 10W50でも油圧は落ち、垂れ気味になります。
すなわち、油膜切れで可動部を摩耗させてしまう危険性がとても高いのです。
AT車のエンジンブロー率が高いのも、この辺りが起因していると思われます。
(ローファイナルの3速ATはどうしても連続高回転の状況になりやすい)
空冷オイルクーラーなど何らかの対策が必要です。
この車はテスト車輌としての意味合いも強いので、
今後楽しみながらモニターし、結果を商品車輌製作にフィードバックしていければと思っています。
お楽しみに。
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